Emobileの問題解決

最近の大型機の売上不振は顧客ニーズの飽和も背景にあるので、従業員数を相当削減する必要はあるが、すべての顧客をワークステーションメーカーに取られることだけは免れる。 なにしろIBMには、すでに蓄積したソフトウェア資産がある。
前門の虎(パソコン、ワークステーションメーカー)、後門の狼(M&A)が控えるなかで、強い経営のぎりぎりの判断だったのだろう。 売上高の著しい低下をともなう低価格化による利益水準の維持、自社株買いをともなう高配当政策、従業員の大幅削減、研究開発投資の縮小、結果としてのCSの著しい向上,という、苦渋に満ちた猶予のない選択である。
いままで、何でも真似してきた日本の大型機メーカーに、企業自体のダウンサイジングをともなう、これほど血のにじむ決断の真似ができるのだろうか?ほとんどのアナリストがIBMの経営危機を予測するなかで、IBMは、企業サイズとアーキテクチャーを自らダウンサイジングし、肉を斬らせて骨を断つ戦略に出た。 戦略で新規顧客を多くは獲得できなくても、既存顧客を引き止めることは十分できるだろう。
「IBMのままでいけば、ソフトウェアはつくり直す必要がありません」というセールストークになるのだろうか?いずれにしても、370アーキテクチャーの亡霊は、さらに生き延びることとなった。 一九九二年度の年間の決算では、四九億六五○○万ドルという米国産業史上で最大の赤字を計上した。
赤字の原因は、第4四半期に、七二億ドルにものぼる巨額の特別経費を計上したためである。 特別償却と従業員削減のための経費計上である。
九三年にはIBMの売上高はさらに二.八%低下し、六二七億一六○○万ドルとなり、二一年連続で減少した。 IBMは九三年第2四半期にさらに八九億ドルの合理化を断行し、事業立て直しのために、九二年に続いて八一億一○○万ドルの赤字を計上した。
従業員も五万人削減のあと、九三年末現在の従業員数二五万六○○○人からさらに三万五○○○人削減し、二二.五万人体制にすることが発表された。 八六年のピーク時から、一八万五○○○人の減少となる。

新アーキテクチャーに移行するために、既存の未償却の大型機関連の生産設備は一括償却されることになった。 パワーPCや370PCの大規模並列による新アーキテクチャーの体制なら、生産設備もパソコンをつくる程度で十分で、もう赤字を垂れ流し続ける必要もない。
ただ、ときには、従業員の数は相当少なくなっているだろう。 IBMの決断は、まま何年ももはや使用しない設備の分割償却により赤字を計上し続けることによる株価下落と、資金調達の困難化、結果としての会社更生法の申請に至る事態を恐れてのものといえる。
九三年第4四半期にはリストラ効果も現れ黒字転換したが、IBMの困難はまだはじまったばかりの気がしてならない。 九○年代の最終四半期に、IBMが立ち向かわなければならない相手は、おそらくアップルでもコンパックでもないだろう。
現在店頭上場したばかりのデル、GW2000、台湾勢などの、ほとんど開発コストをかけないPC互換機メーカー群である。 メーカーがつくるPC互換シンメトリック.マルチプロセッササーバーは大型機マーケットも侵食する。
IB九四年三月二十五日、KKRで有名なRJRのナビスコからきたIBMのガードナー新会長は証券アナリスト向けの会合で、IBM経営再建のための六大長期戦略を発表した。 長期戦略の柱は、クライアントサーバー市場でのシェア向上、マルチメディア市場でのリーディングポジション、中国などの海外急成長市場開拓、IBMの技術基盤の活用である。
C/S(クライアントサーバー)システムへの対応の遅れを過去十年間における最大の経営判断ミスと認め、C/Sハード、ソフト群の充実と、マルチメディア.ピデオサーバー、ATM交換機市場への参入を表明した。 九四年一月には、ペンティァム以後のインテルMPUを使用しないことも表明している。

や、M1などの対抗勢力といたずらに争うだけの低い次元に費やすのではなく、スマートボックスとしてのPCを飛躍的に性能向上させるDSPアレイの開発と、PCIバスと互換性のあるマルチメディア.ピデオサーバー、それと一体化したATならば、再び過去の栄光を取り戻せるかもしれない。 ワンチップで一万MIPSものDSPアレイを無数に装備したマルチメディア.ピデオサーバーは、「マルチメディア」市場を目的とするものではなく、自律動作式入出力装置を可能にする中枢回路を構成するに違いないアルファシリーズが、現在の一○○○倍の性能レンジまでのアーキテクチャー寿命をもつよう設計したというDEC社のアナウンスは、あながち冗談ではない。
アルファチップは、三.二一Vの動作電圧に消費電力を抑えており、技術でままゲート電圧を一.五Vくらいまで下げれば、さらに低消費電力化がられ、今日の目にも止まらぬ速さのPCの成長を見て、PCが永遠に進化を続けると思うのは、いささか幻想であろう。 PCの価格崩落は、シアタークオリテイの動画性能を、94年から95年にかけてPCが乗り越えることによって起きる。
パラダイムシフトのキーテクノロジーは、RISCでもCISCでもペンテイアムでもパワーPCでもない。 DSPアレイエンジンである。
DSPは、95年には0.25ミクロンCMOSプロセスで、チップで1万MIPSを超える性能をたたき出すようになる。 DSPを複数搭載したDSPアレイの登場は、PCの価格崩落をもたらし、価格崩落とともに、あたかも生物の最終進化を見るように、普及と進化の停止により、周波数限界は倍に高まるだろう。
スーパースカラーを六回路ほどに増やせば、それだけでピーク処理性能は二倍にできる。 データバス幅を六四ビットからさらに倍にすれば、データ処理能力は四倍になる。
キャッシュをもう二、三倍増やせば、性能は倍になるだろう。 これらだけで三二倍程度の性能アップは可能である。
さらにグラニュラリティー(細粒度)を保って並列処理するため、単純なマルチプロセッサ化で数倍に性能を高めることができる。 普通のアイデアだけで一○○倍の性能レンジが可能である。
大規模並列化すれば、それだけでさらに限界なく性能を上げることができる。 一○○○倍の性能レンジの展望はどの根拠かはっきりしないが、相当なところまではいきそうである。
マイクロ2000計画の前途には、大きな障害が立ちはだかっていることを忘れてはならない。 互換性維持のためにきわめて複雑化した例外検出回路と、例外検出回路の一クロックあたりの通過ゲート数によるLSI製造プロセス上の制約である。
他社がCMOSを使って数千円のコストで一○○MIPSを実現しているのに、インテル社の場合は、互換性の維持のために、性能のチップをつくるのに数万円のコストがかかっている。 障害は、永遠にみえるインテル社の繁栄の前に大きく立ちはだかるかもしれない。
製造プロセス上の困難、歩留まりの低下と利益率の低下、設備投資額の巨大化、安定出荷体制維持の困難である。 九○年代のそう遅くない時期に、インテル社が苦渋の経営判断を下して、86互換路線になんらかの方向転換を行わないかぎり、会社の今日の繁栄は続かないだろう。

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